鳥インフルエンザの1亜型であるH5N1がアジアを中心に猛威を振るい、感染した鳥は全身に種々の症状を呈し、死に至ったのです。そこで、このウィルスは、高病原性鳥インフルエンザと命名されました。
豚は、元来、種々の病原体に易感染性であり、家禽類やヒトのウィルスに容易に感染することが知られています。実際、このウィルスが原因でベトナムや韓国では多数の豚が死亡しています。また過日、タイの動物園で飼育中のベンガルトラが鳥インフルエンザの症状で多数死亡し、感染している可能性があるトラは感染拡大防止のために薬殺されました。
従来から、鳥インフルエンザはヒトには感染しないものと考えられてきました。しかし近年、その定説が見事に覆され、鳥からヒトへの感染のみならず、ヒトからヒトへの感染も確認されています。現在のところ、ヒトでの発生頻度はきわめて低いのですが、致死率の高いことが憂慮される所以です。
ヒトや豚の細胞内で、鳥インフルエンザウィルスと既存のヒトインフルエンザとが出会って遺伝子の組み換えが起こり、新型インフルエンザが出現するのです。ヒトはこの新型ウィルスには免疫がないために重症化しやすく、前世紀に猛威を振るったスペイン風邪、アジア風邪、香港風邪がこれに相当するのです。加えて、重症急性呼吸器症候群(SARS)が飛沫感染であるのに対して、この新型インフルエンザは空気感染であり、封じ込めが難しいと思われます。高病原性鳥インフルエンザがヒトにとって脅威の伝染病にならないことを祈るのみです。
次回から、鳥インフルエンザやSARSなどの新興感染症について順次述べていく予定にしています。 |